僕が生きていく世界

人と少しだけ違うかもしれない考え方や視点、ぐるぐると考えるのが好きです。 あくまで、僕個人の考え方です。 みんながみんな、違う考えを持っていていい。 いろんなコメントも、お待ちしてますよ。

レビュー 牛窪恵『恋愛しない若者たち』

 

  
 「若者たちが恋愛しない理由は、社会そのものにある。本人を批判するのはおかしい」

と指摘していて説得力がある。

 

一方で、あくまでもバブル世代の大人たちに向けた本という感じで、

著者がいわゆる「バブル世代の成功者」なので、

「自分達の時代は恋愛はとても楽しいものだった。それを知らない若者は可哀想」

という視点なのはなんともモヤモヤする。

僕からするとバブル期の希望に裏打ちされた生き方って、覚醒剤でハイになっていた状態みたいにも見えるなぁ。

 

「多大な恋愛リスクや不良債権が露呈したいま、もし彼らに「怖がるな」「思い切って恋愛してみろ」と言うなら、失ったものを取り戻せる社会、底辺からでも這い上がれる社会を、大人たちが中心となって創り上げていく必要があるはずだ」(本文より引用)

ここには深くうなずいた。 

 

特に「おわりに」がよかった。

「いまの若者は、ていのいい自己責任論を振りかざし、何もしてくれない大人たちにうんざりし、「せめてリスクだけは減らそう」と恋愛にまで背を向け始めた。一方で、不安な時代だからこそ、誰かと連帯する経済的・心理的メリットを痛感している」

 

この本で取り上げられている、

フランスの「パックス」とスウェーデンの「サムボ」の制度はすごくいいな、と思う。

日本では「まともな人間ではない」と扱われるような人たちを、公的に承認する制度。

正直言って社会の成熟度の格が違うんだなぁと感じた。

未来を見据えているか、目をふさいでいるか。

 

読んでよかった。なかなか考えさせられる本。

しかし、未来は実感的にかなりきびしいなぁ。ちょっとどんよりする。