『小さな友達』
僕には幼い頃から、他の人には見えない小さな友達がいた。
彼の名前はコロといった。本人曰く、「わしの名前はコロポックルなのじゃ。ほえ~ん」だそうだが、僕はめんどくさいのでいつも「コロ」と呼んでいた。
ちょっとだけ辞書で調べてみたら、コロポックルってのは北海道におおむかし住んでいたアイヌ人、って人たちが信じてた小人のことらしい。でもまあ、そんなことはどうでも良くて、彼は僕の部屋に住む、僕だけに見える友達の「コロ」だった。
彼のお気に入りの場所は、僕の机の一番上の引き出しだった。彼は引き出しで足を伸ばして眠れるくらいの大きさしかない。彼によれば「ちっちゃい方がお得だしの。だからちっちゃくなったんだよん。こーんな狭いお部屋も、わしにとってはひ~ろびろ。ひゃっほいさ~」なのだそうだ。
彼は一日のほとんどを寝てるし、なぜか何かを食べることも、トイレに行くこともなかったから、僕が彼に煩わされることはなかった。
時々、一人で何だか寂しいときに引き出しを開けると、僕は幸せそうににへらと笑いながら眠っている彼の姿を見ることができた。
彼のほうから出てくることも、ごくたまにあった。そういう時は大抵、僕が落ち込んでいるときだった。学校でうまくいかなかったり、好きな子にふられたりして、僕が肩を落として部屋に帰ってくると、コロは僕の机の上に座っていて、「今日は外に出てみました。ほえほえ~。お空が青くて雲は真っ白。わしはお元気だよ~ん」とかいいながら、僕を迎えてくれるのだった。そして能天気な彼の姿を見ていると、僕の心の中の黒い雲は、一気に晴れていってしまうのだった。不思議なことに、そういう日は決まって空はよく晴れていて、太陽の暖かい光や、月の静かな光が窓から差し込んでくるのだった。
今日もコロは僕の机の引き出しの中で、幸せそうな顔で眠っている。
その寝顔を眺めていた僕は、コロを起こしてしまわないように――ゆっくりと引き出しを、閉めた。
彼の名前はコロといった。本人曰く、「わしの名前はコロポックルなのじゃ。ほえ~ん」だそうだが、僕はめんどくさいのでいつも「コロ」と呼んでいた。
ちょっとだけ辞書で調べてみたら、コロポックルってのは北海道におおむかし住んでいたアイヌ人、って人たちが信じてた小人のことらしい。でもまあ、そんなことはどうでも良くて、彼は僕の部屋に住む、僕だけに見える友達の「コロ」だった。
彼のお気に入りの場所は、僕の机の一番上の引き出しだった。彼は引き出しで足を伸ばして眠れるくらいの大きさしかない。彼によれば「ちっちゃい方がお得だしの。だからちっちゃくなったんだよん。こーんな狭いお部屋も、わしにとってはひ~ろびろ。ひゃっほいさ~」なのだそうだ。
彼は一日のほとんどを寝てるし、なぜか何かを食べることも、トイレに行くこともなかったから、僕が彼に煩わされることはなかった。
時々、一人で何だか寂しいときに引き出しを開けると、僕は幸せそうににへらと笑いながら眠っている彼の姿を見ることができた。
彼のほうから出てくることも、ごくたまにあった。そういう時は大抵、僕が落ち込んでいるときだった。学校でうまくいかなかったり、好きな子にふられたりして、僕が肩を落として部屋に帰ってくると、コロは僕の机の上に座っていて、「今日は外に出てみました。ほえほえ~。お空が青くて雲は真っ白。わしはお元気だよ~ん」とかいいながら、僕を迎えてくれるのだった。そして能天気な彼の姿を見ていると、僕の心の中の黒い雲は、一気に晴れていってしまうのだった。不思議なことに、そういう日は決まって空はよく晴れていて、太陽の暖かい光や、月の静かな光が窓から差し込んでくるのだった。
今日もコロは僕の机の引き出しの中で、幸せそうな顔で眠っている。
その寝顔を眺めていた僕は、コロを起こしてしまわないように――ゆっくりと引き出しを、閉めた。