僕が生きていく世界

人と少しだけ違うかもしれない考え方や視点、ぐるぐると考えるのが好きです。 あくまで、僕個人の考え方です。 みんながみんな、違う考えを持っていていい。 いろんなコメントも、お待ちしてますよ。

学童に学ぶホスピタリティ

僕は今、学童でアルバイトをしている。

フルタイムの仕事の休日に少しだけ、という形だから、
月に2日程度だけれど。
正確に言うと、僕は特別な資格などは持っていないので、
子どもたちを預かる「学童保育」ではなく、
放課後の子どもたちと遊ぶ、遊び場のスタッフだ。

 

近隣のふたつの小学校に通う小学校1年生から5年生までの児童が、
放課後や休みの日に、両親が家に帰ってくるまでの遊び場と遊び相手を求めてやってくる。
スタッフの役割は、子どもたちと遊ぶこと(および、子どもたちの安全を守ること)。
何かを教えるわけではないから「先生」という立場ではない。
他の子供に迷惑をかけるような行為はちゃんと叱るけれど、
基本的にはあくまでも遊び相手。

 

近隣の小学校の児童だから、対象は限られていて、リピーターが前提。
しかし、その遊び場が「つまらない」と感じたら、その後来なくなることもある。
先生と生徒の立場でもないから、
子どもたちがスタッフに気を遣う、なんてことは基本的になく、
好きも嫌いもダイレクトだ。

 

考えてみるとこれって、ものすごく「ホスピタリティ」の訓練になる。
「たくさんの子どもたちに好かれる=顧客満足が高い対応をしている」
と言い換えることができるし、
実際に、スタッフの中でも、
子どもたちにものすごく懐かれている人からあまり好かれていない人まで、
さまざまだ。

 

スタッフは学生から、定年退職後の70代の方まで、幅広い年齢構成。
男女比はおよそ半々くらい。
社会人経験なども人によってぜんぜん違う。
子どもとの接し方もそれぞれで、それぞれのやり方を見ていると、非常に勉強になる。

 

この仕事をはじめて半年、いろいろと観察する中で僕が感じた、
「多くの子どもたちに好かれるための要素」をいくつか紹介したい。

 

1.同じ目の高さで会話をする。

当たり前のようでいて、意外とできないこと。
そして、とても重要なこと。

子どもは、「きちんと会話をしてくれる人」を求めている。
一生懸命話していることを「子どもの話すくだらないこと」だと考えて、
適当に相槌を打って聞き流したり、
「どうせ理解できないだろう」という態度できちんと説明せずに煙に巻いたりするのを、
子どもはちゃんと見抜く。

そういう雰囲気を感じ取った子どもは、スタッフのいうことも聞かなくなる。
「人は自分の話を聞いてくれない人の話は聞かない」のだ。

 

2.言いなりにならない。

子どもたちに好かれるためには、子どもの言うことを何でも聞いてあげるのが、
いちばん簡単なように思われる。
ところが、気が弱くてすぐに言いなりになってしまう人は、
ごく一部の子どもには懐かれても、決して、「多くの子どもたちに好かれる」とはならない。

子どもは基本的に、自分のことしか考えていない。
だから、お気に入りのスタッフに対して「僕だけと遊べ」と言ったりする。
しかし、そういう子どもの言うとおりにしていると、
他の子供達に手が回らなくなってしまう。
結果的に、大きな声でわがままを言う子どもばかりが得をして、
真面目で、引っ込み思案な子どもが損する事になる。
子どもたちは、そういう「不公平さ」に敏感だ。

それに、大人を言いなりにすることで満足感を得る子どもは、
だんだんと要求をエスカレートさせていくものだ。
無理な要求に相手が応じられなくなると、あっさりと「嫌い」に転じたりもする。
だから、言いなりになることで子どもに好かれようとすることは、筋が悪い。

 

3.子どもの悪口を言わない。

実際に仕事をしていく中での実感として、
あまり子どもに好かれていない人ほど、子どもたちについて、
「あの子は頑固で言うことを聞かない」とか、
「ここの子どもたちは礼儀がなっていない」というようなことを口にする。
そもそも子どもは、信頼していない相手に対しては警戒心が強く攻撃的になるものだし、
対応次第では、ふだん乱暴な子どもが心を開いてくれるようになることもある。
確かに、問題児っぽい子もいたりはするのだけど、
自分と相手とのコミュニケーションがうまくいかない原因を、
「相手の性格が悪いから」と言ってしまうと、それは「改善不可能」なものになってしまう。

 

4.感情を共有する。

子どもは「一緒に遊ぶのは好きだが、遊ばれるのは嫌い」だ。
子どもと「遊んであげている」と考えている大人は、ついつい、
子どもを喜ばせようと大げさな感情表現をしたり、
逆に、子どもが喜んでいるのに「はいはい」と適当にあしらったりしてしまいがちだ。
そういうとき、子どもは目に見えて「冷める」。
そうではなくて、一緒になって喜び、悔しがり、真剣に遊ぶのがいい。
子どもと感情を共有すること。
たぶん僕は、これがいちばん得意なのだと思う。
頭の中が、子どもと一緒だからな……。

 


おそらくまだまだあるけれど、とりあえずこんなところにしておこう。
こう上げてみると、これが決して子ども相手に限ったことではなくて、
様々な仕事や、人間関係に応用できることだということがわかる。
僕は今、子どもたちを通して、人生を学んでいる……。