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人と少しだけ違うかもしれない考え方や視点、ぐるぐると考えるのが好きです。 あくまで、僕個人の考え方です。 みんながみんな、違う考えを持っていていい。 いろんなコメントも、お待ちしてますよ。

レビュー 福嶋麻衣子 いしたにまさき『日本の若者は不幸じゃない』

日本の若者は不幸じゃない (ソフトバンク新書)
福嶋 麻衣子,いしたに まさき
ソフトバンククリエイティブ


おすすめ度:☆☆☆★★(3/5)

タイトルにひかれて衝動買い。
よく見てみたら、著者の福嶋さんは僕と全く同い年の1983年生まれ。
そのせいか、社会に対して思っていることが僕ととてもよく似ていて、すごく親近感を覚えた。
「日本の若者は不幸じゃない」というコンセプト自体もそうだし。

強く共感したのは、「私たちの世代は不況ネイティブである」という考え方。
「昔はよかったのに、今は不況だから不幸だ」とか言われたって、
僕らそもそもバブル時代を全く知らないよ。
だからそんなものと比べられたって困る。
「今の若者は可哀想だ」なんて言うのは、そのバブル時代につくられたものさしを、
今の時代にも当てはめて計ろうとするからじゃないのか。
そして問題なのは、そうしたものさしが親たちの世代だけではなくて、
そうした世代に影響を受けた若者たち自身の中にもあって、
自分で自分を計って「不幸だ」と思ってしまう人が少なくない、ということ。

だけどそうした人たちに対して、「若者たちは決して不幸じゃない」と著者は主張する。
かつての価値観とは違って、若者たちは10年後20年後の安定や大きな収入がなくても、
ちょっとした幸せ、「ちょい」の成功で満足できる。
オタク文化やインターネットの中で「居場所」を見つけられた若者は、それなりに幸せであって、
過去の価値観に照らし合わせて不幸を押しつける必要はないんじゃないか、という主張だ。

僕自身、この主張に賛同するところは多々ある。
僕の今の仕事量や給料を聞くと、眉をひそめて「それは大変だ」と同情してくれる大人たちがいる。
その一方で、僕自身は自分がそうした大人たちに比べて不幸だなんて思っていない。
確かに給料は多くないけれど、週末になればたくさんの友人を家に呼んで、
あり合わせの野菜や肉を鍋に放り込み、
少しずつ買い集めたお酒で安上がりな(でも美味しい)カクテルをつくって、
しょっちゅうパーティーを開いたりしている。
鍋といったら高級食材をなにか入れないと気が済まなくて、お酒は人につくってもらうもので……
なんて思っているようなバブルの価値観を引きずっている「大人」の人は、
きっとこの楽しさは分からないんだろうな、なんてむしろ同情したりするくらいだ。

だけど、手放しでは賛同できない部分もある。
とくに、将来のこと、具体的には子供のこと。
「若者は、300~400万の収入があればいいと思ってる」
「女の子は、失敗しても家族という居場所が確保されている」
と著者は言及しているが、子供を養い、長い期間育てていく、
ということを考えたらそうはいかないのが現状だろう。
それを詳しく考えずに「今の若者は不幸じゃない」といったところで、
それは問題を先延ばしにしているだけだ。

そういう話を、もっと細かく検討してほしかったのだけど、
残念ながら上記のような主張が書かれているのは冒頭の導入部だけで、
それ以降は福嶋さんが運営するアイドルライブバー「ディアステージ」と、
各地で広がる「オタク文化」の紹介的な内容になってしまう。
「若者のパワーをあらわす具体的な動き」として、
アイドル、ゲーム、アニメ、をきっかけとしたオタクの若者たちの
具体的な行動の例が挙げられているのだが、
あくまで紹介にとどまってしまっているなぁ、という印象。
初めからそういうクラスターに属している人は「そうだそうだ」と言うかもしれないけど、
そういう文化に理解がない人がこれを読んでも、むしろ余計に奇異に見えるばかりで、
「なるほど、確かに若者は不幸じゃないな」とは思わないんじゃないだろうか。

全体として、もう少し冒頭の主張を掘り下げて、
説得力のあるものにしてほしかったなぁと思うけれど、
僕と同年代の人の社会に対する価値観や、
上の世代から「不幸だ」と言われることへの違和感が、
こうして本になることで少しでも伝わるきっかけになるのなら歓迎したい。

著者たちの今後の活動に期待したいと思わせる本だった。