僕が生きていく世界

人と少しだけ違うかもしれない考え方や視点、ぐるぐると考えるのが好きです。 あくまで、僕個人の考え方です。 みんながみんな、違う考えを持っていていい。 いろんなコメントも、お待ちしてますよ。

TNGライヴレポ

TNG。男三人のスリーピースバンド。
アイドル風の風貌ではない。流行りのポップソングのような甘い歌は歌わない。
決して、誰もが簡単に受け入れる類のアーティストではないかもしれない。
けれど。むちゃくちゃにかっこいい。
彼らの楽器が音を奏で始めると、小さなライヴハウスの空間に、色が溢れるのだ。

TNGの音楽は、「サーカスみたいな抽象画」「絵の具箱をひっくり返して描いた落書き」。
なんたって、音の層が豪華すぎる。たった三人で奏でているだなんて信じられない音の厚み。
三人とも、むちゃくちゃに音楽が、そして楽器が好きなんだろうなぁ、と感じさせる、音へのこだわり。

縁の下の力持ち、というか母なる大地とでも呼びたくなるたくましさでどん、と構えるドラム。
たくましい腕から繰り出される迫力に満ちた音、というのはもちろんだけど、それだけではない。
あまり見たことないような独特のドラムセットの配置に、
スティックで叩くシンセサイザーのような電子パッドまで駆使して、
まるでおもちゃ箱のような多彩な音を生み出す。
それこそサーカスか大道芸人のように、ドラムの音だけでも十分に楽しめるほど。

そしてこだわりを感じさせる五弦ベース。
普通僕らがイメージするような、「ベース」の枠を遥かに超えて、
ギターの音に負けるとも劣らない多彩な表現で、音楽を「支える」だけでなく「奏でる」。

TNGは普通はリズム隊と呼ばれて比較的地味なはずのこの二つの楽器だけで、
十分に音楽を創り出してしまっている。
リズムを刻むだけではない。奏で、歌っているのだ。

だから、残るフロントマンのシバジャックの代名詞でもある、
エフェクトを駆使したノイジーな歪みギターはひたすらに音楽を、
空間を「飾る」ために使うことができる。
ドラムとベースでしっかりと構築された、大胆かつ細かな工夫が散りばめられた旋律を、
ジャックのグレッチの音がギュインギュインと飾り、飾り、飾りまくる。
装飾過多できらびやかなのに芯のある、
飢えた僕らを満足させてくれる大盛りの音が、こうして作られる。

一方でシバジャックの歌声は、とてもシンプルだ。
決して技巧的ではない、しかしそれ故に真っ直ぐに届く、素直で少し照れくさそうな声が、
丁寧に作り込まれた作品にありがちの高尚さや独りよがりな雰囲気を完全に打ち消し、
聞く者にほっとするような気安さを与えてくれる。

苦労やこだわりはもちろんある。でも、お客さんはそんなことは知ってくれなくていい。
ただ楽しみたいだけで楽しんで欲しいだけ。音楽が、好きなだけ。
僕の思い込みかもしれないが、彼らの曲はそう言ってくれているような気がする。

TNGの音楽はきっと。小学生の男の子の憧れだ。
好きなことには食べることすら忘れて夢中になる純粋さ。
ただひたすらに、楽しむことに対して貪欲な、彼らの熱意。
多くの経験と高い技術を持ちつつ、小学生のような思いを忘れない、
そんな彼らの音楽は、僕らの脳みそじゃなくて、胸の奥にある、本能の部分に届くのだ。

ちょっと言葉を並べすぎた。本当は、一言でもよかったかもしれない。
TNGのライヴは、とにかく楽しくなれるよ!」って。