僕が生きていく世界

人と少しだけ違うかもしれない考え方や視点、ぐるぐると考えるのが好きです。 あくまで、僕個人の考え方です。 みんながみんな、違う考えを持っていていい。 いろんなコメントも、お待ちしてますよ。

吉田直『ジェノサイド・エンジェル 叛逆の神々』(角川スニーカー文庫)

おすすめ度:☆☆★★★(2/5)

僕の大好きな、『トリニティ・ブラッド』の作者のデビュー作。
1997年に発売されたもので、第2回スニーカー大賞受賞作だ。
(ちなみに、第一回の大賞は受賞作無しだったので、初の受賞作でもある)
そんな肩書きがあるものだから、ものすごく期待して読んでみた。

感想。
正直言って、期待したほどではなかった。
封印されていた神話の神々が次々に甦り、人間を支配する。
しかも神々の正体は「神体」と呼ばれる巨大ロボットと、それを操縦する「神格」で、
神々のうち、ケルトの女神四姉妹が、主人公(人間、男)を巻き込んで争い始める。
というようななかなかすごい設定は面白そうではあるのだが、
どうも、生かし切れていない感が強い。
本来ならシリーズ長編にすべきものを無理矢理に一冊に押し込めたという感じだ。
設定だけでなく、心情や情景の描写、設定情報の明かし方なども、
なんというか、未熟な感じがしてしまう。
ブコメ風の雰囲気も、一昔前のトレンディードラマのようなチープさがあるような。
ああ、やっぱりデビュー作だな、と思った。
逆に言えば、これを書いた作者が何年か後に、『トリニティ・ブラッド』を書いたのだと思うと、
その明確な成長ぶりにとても好感がもてる。
そういえば少し前に、吉田氏の二作目に当たる『FIGHTER』も読んだが、
その出来は、『ジェノサイド・エンジェル』と『トリニティ・ブラッド』のちょうど中間くらいだった。
そうか、吉田氏は完全な天才肌というより、地道に努力して着実にうまくなっていったんだな。
どんどんと腕を磨いていったお手本のような感じで、尊敬してしまう。
重ね重ね、作者の夭折が悔やまれてならない。

作品が期待はずれだった割にとても肯定的な批評になってしまった(笑)。
念のため言っておくと、期待があまりに大きすぎたのが問題なのであって、
この作品が決して面白くないわけではない。
色んな神話の神々が出てきたりして、神話マニアな僕は結構楽しめた。